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米国株の外国税額控除とは?
特定口座(源泉徴収有り/無し)で米国株を保有している方は、配当金を受け取る際に米国での現地課税(10%)+国内課税(20.315%)の配当課税が自動的に発生します。
この二重課税問題を解決するため国税庁では外国税額控除制度(国税庁公式サイト)を用意しており、給与所得等で所得税を納めている方なら確定申告で米国現地課税分(10%)は取り戻すことができます!
ご自身の年収から決まる所得税額とその控除額の範囲内で還付される金額が決まるため、必ずしも100%取り戻せる訳ではありませんが少しでも余分な税金を取り返すために確定申告することをオススメします。
ポイント
本記事では初めての方でも簡単に済ませられるよう2020年2月(令和1年)時点での最新画像を交え、特定口座(源泉徴収有り/無し)それぞれの場合に分けて手順を解説していきます。
確定申告の事前に用意するもの
本記事では普段確定申告することがない一般的な会社員であることを前提とし、ペルソナは大手企業で働きながら米国株から配当金を貰っている新卒Aさんをモデルにしたいと思います。
前提条件
新卒Aさん(23歳独身、住宅ローン無し、保険未加入)
①時期:2020年(令和1年)に確定申告
②年収:会社からの給与XXX万円
③控除:基礎控除38万円のみ
④その他収入:米国株から配当金8万円のみ
⑤証券口座は楽天証券
事前に用意するもの
①前年の源泉徴収票
②特定口座年間取引報告書(特定口座なら全員)
③年間支払通知書(源泉徴収なしの特定口座の方のみ)
④配当金の明細(証券会社サイトや支払通知で確認)
①源泉徴収票のサンプル
②特定口座年間取引報告書(特定口座全員)
③支払通知書(特定口座の源泉徴収なしの方)
確定申告で外国税額控除するための作業ステップ
e-taxで自宅から確定申告を済ませる場合も、予め書類を作成して直接税務署に提出する場合も国税庁の確定申告書等作成コーナーから行います。
- 確定申告書等作成コーナーにアクセス
- 基本情報を入力(e-taxの場合はマイナンバーかID/パスが必要)
- 所得額(給与年収と配当益)を入力する
- 控除額(外国税額分)を入力する
- 書類を印刷するかe-taxで提出する
所要時間は30分もあれば終わりますので休日にサクッと取り組みましょう!
確定申告の基本情報を入力する
まずは国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスして確定申告を始めます。
①作成開始をクリックします。
②申告の方法を選択します。税務署に行かなくて済むe-taxなら左の2つのいずれか、従来通り書類持ち込みか郵送する場合は一番右を選択します。
③所得税を選択します。
④配当益の申告ができる真ん中の『全ての所得に対応』を選択。
⑤事業所得があって青色申告できる人以外の方は、最初の✅は空欄でOKです。
なお、一番下の申告書のイメージで申告できる✅は"無し"をオススメします。これをONにするとこの先の画面が見づらいUIに変わってしまうので無視しましょう。
これで基本情報を入力はおしまいです。
給与所得(年収)を入力する
⑥会社員の所得であるお給料の入力をしていきます。
⑦会社員なら年末調整がされているので上の方のみ入力します。
⑧例に従って入力します。念のため冒頭の源泉徴収票サンプルでも記入で使う項目を明記してあるので見比べてみてください。
⑨⑩会社員なので社会保険料額と会社名のみ入力して確認ボタンを押します。
⑪源泉徴収票の入力内容と差異が無ければ次に進んでください。
⑫これで給与の申告は完了です。次は給与外収入の配当所得を入れていきましょう。
配当所得(米国株の配当金)を入力する
ここからは特定口座(源泉徴収あり/なし)で入力方法が異なります。それぞれの口座種別に応じて参考にしてください。
補足ですが、いずれの場合も新卒Aさんのように年収500万円前後であれば"総合課税"方式のほうが所得税率が低くなるのでお得です。
一方で年収が695万円以上ある方の場合、"申告分離課税"方式の方が所得税率を低く抑えられるのでどちらが良いかは入力して最後の還付金額を見比べてみてください。
注意ポイント
譲渡益損失(売買による損金)がある場合、"申告分離課税"を選択することで配当金で国内課税された額と損益通算できます。配当金の受取額が大きく、含み損を損切りした方の場合は申告分離課税がお得になることもあります。
特定口座(源泉徴収あり)の場合
⑬源泉徴収ありの方は証券会社から配布される"特定口座年間取引報告書"の内容を入力します。
⑭口座情報を入力し、『配当等』を選択します。
⑮⑯取引報告書に則って配当総額、それに掛かった国内所得税、住民税と証券会社名を入力し、確認へ進みます。
⑰ここでエラーが出ますがこれは外国税について記載していないからであり、後半で対応するので無視して進んでOKです。
⑱そのためここでは今回の配当金は配当控除に含まれないものであるということを申告するために配当控除入力をクリックします。
注意ポイント
米国株など外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象とならないことを留意してください。(参考引用:国税庁の配当控除制度について)
⑲特に何もせずに計算ボタンを押します。
⑳"配当控除の対象とならない配当"に配当金が割当されていたら入力終了です。
特定口座(源泉徴収なし)の場合
㉑源泉徴収なしの方は、証券会社から支給されている"支払通知書"の内容を入力していきます。
㉒既定のフォーマットで事前に管理している場合を除き、個別に配当金実績を入力します。かなり面倒ですが特定口座(源泉徴収なし)の宿命だと思って頑張りましょう。
㉓例ではIBMという一つの銘柄/実績にまとめていますが、取引報告書に記載されている通り米国現地徴収のあった配当金は銘柄でまとめずに1つ1つ入力してください。
※なお、4.配当控除に含まれないも選択することを忘れないでください。
㉔各配当の入力が完了したらそのまま次に進みます。
㉕源泉有無で分岐したTOP画面に戻りました。昨年からの繰越譲渡損失(損だし)を利用される方以外は"いいえ"を選択し入力終了します。
㉖所得申告のTOPページで配当所得も入力されていることを確認し、入力終了へ進んでください。
外国税額控除(米国現地課税)を入力する
ここからは控除申告を進めていきます。
㉗給与所得に応じて社会保険料と基礎控除が自動的に反映されています。
各種保険控除や寄付金控除(ふるさと納税)の対象者はここで入力しておきます。該当無ければそのまま入力終了してください。
㉘外国税額控除を入力していきます。
㉙特定口座(源泉徴収あり)の方は配当所得で使用した"特定口座年間取引報告書"に記載された配当金の合計金額と米国で実際に徴収された金額(外国税)をそれぞれ入力してください。
特定口座(源泉徴収なし)の方は、"支払通知書"の下部に記載された同様の金額を入力してください。
※原則として個別の記載が望ましいですが2019年より証券口座の取引履歴は所管税務署へ自動的に証券会社から連携されているので、例のようにまとめて記載しても税務署側で正しいか(虚偽がないか)把握してくれます。
ポイント
平成31年4月1日以降の確定申告から今回使用した"源泉徴収票、特定口座年間取引報告書、支払通知書、(外国課税証明書)"の提出は不要になりました。(引用:国税庁の国税関係手続が簡素化されました)
㉚㉛政令指定都市に居住しているか、過去3年間の繰越外国税額控除の適応を受けるか、を選択して入力終了します。特に無ければ例のように無視でOKです。
㉜外国税額控除の金額が算出されました。入力終了します。
確定申告を終わらせる
ラストスパートです!いよいよ確定申告の最終確認と還付金の受取方法を指定しましょう。
㉝還付される金額を確認して、次へをクリックします。
㉞1~6に該当する方のみ住民税の納付に関する入力ができます。※既にこれまでの入力結果より今回は還付を受ける側で追加納税が発生しないため無視でOKです。
㉟還付金の受取方法を指定します。銀行振り込みか、郵便局窓口での受取を選択できます。
㊱マイナンバーを入力し、次へをクリックします。
㊲最後に今回入力した確定申告内容一式の確認と印刷できます。
税務署に直接/郵送提出する場合
一式を印刷して必要事項を記入、捺印して所轄の税務署へ提出しましょう。
ネットで送付する場合
個別の提出書類が無ければ何もせずそのまま送信して終わりです!とってもラクチンなのでオススメです。
外国税額控除で米国株の配当課税を取り戻そう
お疲れ様でした!思ったより簡単ですよね?
確定申告は面倒ですが税金知識が身につきますし、貴重な10%の配当金を取り戻すこともできるのでインカム投資家にとってはWin-Winです♡
ちなみに、気になる還付は繁忙期で1~2か月、それ以外は1か月ほどで還付されますので気長に待ちましょう~。
いつも読んで下さってありがとうございます。
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