投資哲学

最新版『バフェットの手紙』に学ぶ個人投資家に大切な3つの心得

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2020年2月22日オマハの賢人ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが2019年12月期の決算発表を行いました。

 

純利益は前期比+120%の814億ドル(約8兆円)で大幅高になりましたが、ご存知バークシャーは投資ファンドの性格が強く2017年12月から始まった米国会計基準では純利益に上場企業の株式評価額を反映させることになったため、ボラティリティが高くなっている背景があります。

(前期は貿易戦争の懸念で筆頭株のアップルの評価損が足枷になりました)

 

さて、バークシャー・ハサウェイの株主総会では『バフェットからの手紙』と称して彼が投資家向けに書簡を送っているのは有名な話です。

 

バフェットからの手紙の中では主に個人投資家向けのアドバイスやその時々の株式相場に対する示唆が多く含まれていることから、バークシャーの投資家だけでなく世界中の投資関係者が注目しています。

 

 

悩む人
最新レターを読んでみたいけど、全部英語だし・・めんどくさいな~

 

じゃあ2020年最新版の役立つとこだけ日本語でまとめるね!
nisaちゃん

 

 

この記事を読むとわかること

  1. 内部留保の重要性について
  2. バフェットの投資先選定法
  3. 今後の株式相場について



内部留保の重要性について

 

原文ではRetained earnings(利益剰余金)と訳されていますが、ここでは便宜的に内部留保と書かせて頂きました。

 

一部の方は"内部留保"と聞いてどんなイメージをしますか?人によってはどこかネガティブな印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

 

これは日本の政治家やメディアが誤った会計知識をもって(もってないかもw)大企業の内部留保金を単にタンス預金のような貯め込まれたお金だと批判している姿を目にすることが原因かもしれません。

 

一般に会計上"内部留保金"という言葉は使われることはなく、これが正確に指すところは繰越利益剰余金のうち、バランスシート上の資産の部で現金として残ったものを示しています。

 

簡単に言えば、ある事業を営んだ結果として手元に残った利益のうち、行き場がなく現金として積みあがったもののことです。

 

ここで重要なことはすべての利益剰余金が内部留保になることは無く、その大半は資産の部で"現金以外の何か"に形を変えているということです。

(設備投資や有価証券など何らかの会社の資産に投下されていることがほとんどです。)

 

利益剰余金が複利で企業価値を生む

 

手紙の中でバフェットは1924年に発刊されたエドガー・ローレンス・スミスの著書『Common Stocks as Long Term Investments』を初期に評価していたかの有名な経済学者ケインズの言葉を引用しています。

 

Well-managed industrial companies do not, as a rule, distribute to the shareholders the whole of their earned profits. In good years, if not in all years, they retain a part of their profits and put them back into the business. Thus there is an element of compound interest operating in favor of a sound industrial investment. Over a period of years, the real value of the property of a sound industrial is increasing at compound interest, quite apart from the dividends paid out to the shareholders.”(Keynes)

 

『優れた経営がなされた企業では利益を全て配当金などで株主還元するのではなく、一部を剰余金として留保し事業に再投資することで複利を以ってその企業価値を拡大させる』

 

利益の再投資が複利で資産/企業価値を増幅させる効用がある事実をケインズはもとよりバフェット自身もエドガーから学んでいたのですね。

 

ここから言えることは、個人投資家は単に利益を出してそれを配当金で支払ってしまうだけの企業(タバコ株とか)ではなく、長期的な投資先を検討する際には利益を剰余金としてキチンと残し、資産に再投資することでバランスシートを年々拡大できる堅実な企業に投資することでリターンを最大化することができると言えます。



バフェットの投資先選定法

 

とはいえ、いくら利益剰余金があっても投資先が無ければ困ったものです。

 

バークシャー・ハサウェイはなんと$121B(約14兆円)もの現金を抱えており、それを振り向ける先に頭を悩ませていることが手紙には綴られています。

 

バフェットが買収投資先に求める3つの基準が紹介されていたのでまとめておきます。

 

ポイント

  1. 有形固定資産から十分な利益を生んでいること
  2. 有能で誠実な経営陣であること
  3. 株価が程よい値段であること

 

②はなかなか難しいですが、①は当期純利益を固定資産額で割ってあげた『利益/固定資産倍率』が高くなっているかで確認できます。

 

実際にはバフェット自身も基準を満たす企業を見つけることができても往々にして値段が吊り上がってしまい③を満たせなくなることが多いようで、未だに買収先の選定は進んでいないようです。。

 

ちなみに個人投資家が③を判断する場合には以下の手法が簡単かつ的確なので参考にしてみてくださいね。

 

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今後の株式市場について

What we can say is that if something close to current rates should prevail over the coming decades and if corporate tax rates also remain near the low level businesses now enjoy, it is almost certain that equities will over time perform far better than long-term, fixed-rate debt instruments.

 

政策金利や法人税が現状の状態ほど低いままなら、今後も株式は長期国債のリターンを凌駕するだろう。

 

当面の状況に大きな変動が無ければ株式のリターンは今後も期待できると楽観的な見方を示していますね。

 

『株価は明日にも下落するかもしれない。場合によっては50%以上も下落するかもしれない』とリスクについても触れている一方で、

 

足元堅調な米国経済と上述したエドガーの利益剰余金の仕組みさえ理解できていれば、それでも株式は良い長期投資対象になると締めくくっています。

 

まとめ

 

今後もバフェット、バークシャーハサウェイの投資からは目が離せませんね!近く大型買収が起きてもおかしくないですからね。

 

バフェットからの手紙は個人投資家に多くの示唆に富んでいます。お時間があればぜひ一度覗いてみることをオススメします。

(原文:Shareholder Letters From Berkshire Hathway

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