書評

橘玲著『日本人というリスク』を読んだ感想レビュー

 

 

私が株式投資を通じた資産運用を始めてから出会い、大好きになった作家の一人である橘玲さん著『日本人というリスク』を読みました🌞

 

橘玲さんと言えば、言わずと知れた人気作家で金融経済にも精通していることから、今でこそメジャーになった海外投資のパイオニアのような存在でもあります。

 

最近では多くのYoutuberも彼の著書を取り上げ紹介していることから、このブログの読者さまの中にも『見聞きしたことあるよ!』って方も多いのではないでしょうか?🌟

 

ちなみに橘玲さんは私と同じ早稲田大学を卒業後、起業/サラリーマン生活などを経て処女作『マネーロンダリング』で一気に人気作家としてのスタートを切り、小説だけでなく海外投資の指南書なども執筆されています。

 

『日本人としてのリスク』その内容

 

この本は2011年3月に起こった東日本大震災という予期せぬ事態(本書の中ではブラックスワンと表現)をきっかけに、日本という国に生きる人々が潜在的に抱えているリスクや危機感について改めて定義しようと書かれました。

 

ちなみに当時のわたしは高校一年生の期末テストか卒業式シーズンの早帰りで、友達の家に遊びに行ってるさなかに大地震を体感しましたね。

 

とはいえ関東だったので被災した訳ではないですがマンション全体が揺ら揺らしてて怖かった印象があります💦

 

内容としては日本社会、政治、金融、家計などマクロからミクロの領域まで言及されていますが、全体的にわたしのブログテーマとも相性の良い"個人の資産運用"が意識された書き方がされているので有難かったです🌟



日本人としてのリスクとは?

 

日本という国、また日本人として生きていくことの危機感が顕在化し始めたのは1989年のバブル崩壊から1997年のアジア通貨危機にかけてです。

 

当時バブル景気で今でいう中国人のように日本人は世界各地を旅行&爆買いし、国内景気も強烈な地価の高騰と対外資産の円高効果でこの世の春を謳歌していました。

 

しかしながら不動産バブルは利上げにより一気に弾け債務超過の多発、その後の消費税値上げなどの緊縮政策がドッと乗っかったことで一気に不況の渦にのまれてしまします。

 

未だに日本の長期金利は上がらず、デフレ経済が長引いたことから世界からも"経済の日本化"だけは避けたいという意識が強くっていますよね‥(´;ω;`)

 

さて、そこにきて未曾有の自然災害であった3.11東北大震災が重なり、東北地方は打撃を受け日本全体で見ればこれまた復興支援税という名の増税です。

 

そんな日本の現状を憂いていても仕方ない!対策しないと!

 

ということで私たち日本人が抱えるリスクやこれまで正しいと思われてきた幻想を正しく認識し、

 

新たな一歩を踏み出すための危機感を与えてくれるような内容に本書はなっています。



日本人はなぜ自殺するのか?

 

先進国の中でも日本の自殺率は非常に高く、中でも女性の自殺率は一定である一方男性の特に40代以降の方の自殺率は右肩上がりで上昇しています。

 

地域的には東北三県の自殺率が飛びぬけており、この要因は高齢者の割合が多く県民所得が少ないことが挙げられます。

 

これまで都市部におけるコミュニティーの喪失、希薄な繋がりや孤独感が自殺の要因とも考えられてきましたが、縁故や土縁が強いとされる地方においても自殺を防ぐことはできないのです。

 

中でも中高年の男性の多くが自殺する要因として、98年以降の不景気による企業の解雇、非正規搾取を背景に住宅ローンや養育費の行き詰まりという経済的困窮が主要因とされています。

 

東北大震災での死者・行方不明者はのべ3万人余とされていますが、98年以降の自殺者はそれ以前と比べて年間8,000人以上のペースで増加していますから経済的な困窮は『見えない大災害』と言えますよね。



経済的な困窮を助長するポートフォリオ

 

経済的な困窮が広まりつつある日本において資産運用という知識や考え方は限定的で、多くの人が理解できていません。

 

その結果として、自分が認識している以上に大きなリスクを抱えてしまっているかもしれませんよね?

 

ここからは日本人の多くが陥っている資産運用やポートフォリオ設計の課題点を挙げていきます🔥



①不動産信仰&神話

 

戦後の日本は焼け野原から飛躍的な経済成長を遂げましたが、その一助になったのが"住宅ローン"であり『一国一城の主』『男なら30までに家を建てろ』というスローガンです。

 

当然新築の戸建てを作る過程では多くのバリューチェーンが生まれますから国が旗振り役となって銀行とタッグを組み不動産市場を牽引してきました。

 

しかしながら、多くの庶民にとって不動産は大きな買い物であるのと同時にレバレッジをかけた超大型の投資をしているに他なりません。

 

『欲しいものを借金して買うだけなのになんで投資なの!?』と私も思っていましたが、本書の中では貸し出すことで"利息"を得ることができる時点で資産性があり、それを所有することは投資行為と考えた方が自然らしいです。

 

※商品毎に明確な定義がある訳では無いですが、一般的に不動産というものは資産であり購入は投資行為に当たると考えるのが自然!らしい。



多くの日本人のBSが債務超過!?

 

個人の資産をバランスシートに置き換えると資産状況が可視化できますよね。

 

本書の中で多くの日本人が預金と住宅ローンを抱えていることから歪んだバランスシートの問題点を指摘しています。

 

例えば、預金1,000万円+住宅ローン4000万円の総資産5,000万円のおじさんが居たとして、

 

この人の資産の部は預金はそのまま現金等価物で1,000万円、不動産4,000万円です。

 

この状況で突然会社から解雇されたら住宅ローンが払えませんから不動産を手放すとしましょう。その時、購入時よりも不動産の価値が上がっていれば何も問題有りませんよね?

 

ですが実際には多くの日本の不動産は価値が逓減していきますから売却金額で4,000万円の負債を完済できません。この時点でこの人のマイホーム購入という名の不動産投資は失敗となります。

 

またバブル崩壊から15年間で地価が1/4にまで低下したことを考えると90年代初頭に購入した多くの方々のバランスシートは債務超過になっていると考えられます。

 

著者の橘さんはこうしたことから大きな借金やリスクを背負うよりも資産は分散させる狙いからも不動産投資ならマイホームでなくREITなどを候補にあげており、その配当金を賃貸/家賃に充てることを推奨しています。



賃貸vsマイホームにおける帰属家賃とは?

 

ところで本書の中では『帰属家賃』という言葉が紹介されていて面白いなぁと思ったので紹介します🌞

 

賃貸の方は毎月家賃を払いますが、マイホームの方は一括で購入しているので賃料自体はありませんよね?

 

そこで登場するのが『帰属家賃』という考え方でこれは所有者が居住者が同一の場合に起こる賃料のことで、所有者はそのお金を住宅ローン負債の返済に充てていると考えます。

 

nisaちゃん
なんだかとっても投資家?いや金融っぽい発想ですね!笑

 

さきほど不動産投資の成否の話をしましたが、仮にローン完済後も何も問題無く住み続けられれば、そのマイホーム購入が失敗とは言わないでしょう!

 

あくまで途中で住めないような欠陥が発生したり、売却が必要になったときに価額が負債を越えた場合にマイホーム購入が失敗だったと言えるでしょうね。

 

※個人的にはこの他にも近隣トラブルや災害、瑕疵など怖いので不動産を所有するリスクを鑑みて一生賃貸で気分に合わせた暮らしをしていこうと思ってます!



②終身雇用のサラリーマン債券

 

橘さんが使用する有名な例えでサラリーマン債券というものがあります。

 

これは人的資本(労働力)を会社に提供している私のようなサラリーマン(ビジネスパーソンと言うべき?笑)はその労働力や時間に対する対価として決まったお給料(利息)を毎月受取っていますよね?

 

そして日本型終身雇用の場合、まずクビにならないだろうという安心感から退職まで長期的に固定で受け取ることのできるこのお給料を債券クーポンと置き換えることから想起された言葉です。

 

退職金(元本)もあることを鑑みると満期まで在籍(保有)するのが一般的なのでサラリーマンというのはその存在自体が債券投資のような性質をもっていると言えます。

 

nisaちゃん
みんな1億とか2億円分の債券を保有して定年まで働いてるイメージですね!

 

会社のみ&持ち株買いは集中投資

 

1997年に破綻した当時国内4位の山一証券の社員は一日で数億円の損失を被りました。

 

それは回収できるはずだったサラリーマン債券がデフォルトし債権放棄を余儀なくされただけでなく、業績好調を信じて買っていた持ち株(自社株)が価値を持たなくなったためです。。

 

利息の回収先である自社がまさか倒産し、信じて買った自社株が紙切れになるとは誰もが思わなかったでしょうからまさにアルマゲドンです・・!

 

昨今『副業で収入UP!』というコピーがバズっていますが、これは単に収入を上げるだけでなくリスク分散の一手段としても有用だと上記の例は教えてくれます。

 

また、持ち株への拠出は給与からの再投資に近い考え方なので集中投資を高めることに他なりませんから自身の株式資産と相談して計画的に運用しないといけませんね。



③『円』への集中投資

 

これまでを振り返ってもマイホームなどの不動産投資、日本企業からの給与、投資などすべてが『日本円』で完結していることが分かります。

 

つまり多くの日本人が『円』に集中投資しているとも言えます。

 

橘さんはこうした単一通貨への集中投資は非常にリスクが高いと指摘しています。

 

例えば日本政府の財政赤字はよくメディアでも紹介されていますが、赤字の補填として日銀は日本円を増産/増刷して国債を発行し資金調達/供給しています。

 

しかし仮に諸外国から日本国の信用が揺らぐようなことがあれば『円』の価値が低下し外国通貨に負ける(円安)になる可能性があります。

 

もちろん適度な円安は経済にとってポジティブですが、これが過度のインフレに繋がれば経済混乱に巻き込まれることは避けられません。

 

しかし究極米ドルやユーロなどの対外通貨や外国資産を保有している人は海外で暮らすことも可能ですし、

 

国内においても安くなった『日本円』に多く交換/所有することができるので、まず生活に困窮するようなことは無いでしょう。



日本に依存し過ぎない

 

日本国に、そして日本円に依存しすぎるな!と言われても、、、

 

なかなか急に会社を外資系にしたり、現地採用を狙うというのはハードルが高いですよね💦

 

なのでまずは資産の一部だけでも日本円や日本政府の影響を受けない様に分散してみることをオススメされています。

 

①日本円預金の一部を外貨ユーロ建てにしてみる!

②米国株式を保有してドル資産増やす!

③海外債券/REITを保有して外貨建てCFを作る!etc

 

こう考えると住宅ローンを組むってポートフォリオ/バランスシートが一気に国内不動産になっちゃうから、多くの日本人にとってはよく考えた方がいいでしょうね。。



読書習慣は勝ち組への切符

 

中々ここまでマクロな視点で自分の資産を見つめられる人は本当に少ないと思います。

 

ですがこうした書籍を読むことで普段の生活では意識できないこと知りえないような情報を仕入れることができますので常にアンテナを張るには"読書"は最適な手段です。

 

最後にとっても興味深いデータが本書で引用されていたので紹介します。

 

出版業界において読書をするのは人口の1%だと言われてきたが、

その中でも経済ビジネス書などの知的な書籍を読むのは400万人しかいないとされている。

これは一流大卒の一流企業社員、公官庁職員、医師、弁護士の就業人口から出した実数である。

東京大学をはじめ旧帝一工や早慶MARCHなどの卒業生は年間15~20万人で、この数字は毎年上述のような職業に就く人数と一致している。

そしてこの年齢別人口の上位20万人が定年までの40年間読書をすると40歳分で800万人、経済ビジネス書の場合半分として約400万人しかこうした情報に触れないのだ。

 

読書をするから勝ち組というよりか、勝ち組ほど読書をしているんじゃないかと痛感させられますよね・・!!

 

私も情報強弱になって幸せに生きていけるように読書は続けようと思いました🔥

 

今回ご紹介した本はこちらです!

 

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